
根管治療
根管治療
ラバーダム防湿とは、ゴムのシートを用いて治療する歯を隔離する方法のことです。
治療している歯に唾液を介して細菌が入り込むことを防ぐ役割があります。また、治療中に使用する薬剤が口腔内への漏出防止や、器具の誤飲・誤嚥も防ぐことが出来るため、安全に治療を行うことが出来ます。
マイクロスコープは肉眼と比べ、約20倍程度拡大して歯・根管(歯の神経の部屋)を見ることが出来ます。そのため、これまで見逃されていた細い根管の発見や、根管内部の汚れ(細菌)・異物の除去も可能です。
レントゲンだと歯の状態を一方向から写しだすため、情報は2次元の画像から得ることとなります。歯科用CTは歯を360度あらゆる方向からとらえるため、立体的(3次元的)な画像から情報を得ることが出来ます。そのため、レントゲンでは見落としされていた、歯の根の先に出来た小さな病変や、根管なども発見しやすくなります。
むし歯になると歯のエナメル質や象牙質が、むし歯菌から放出される酸によって溶かされ、進行すると歯の中心部にある歯髄(しずい)にまで到達し、激しい痛みを伴うようになります。歯髄は血管を含む歯の神経で、歯根に通る管状の空洞(根管)を満たし、歯の知覚と栄養供給を司っています。根管治療は、むし歯菌に感染した歯髄や細菌の固まりなどの汚れをきれいに取り除き、痛み・症状を抑えて歯の寿命を伸ばす治療です。
当院では、充実した設備と専門的な技術をもって天然の歯を残すための根管治療に力を入れています。むし歯が重度にまで進行し、「抜歯しかない」と言われた方も、ぜひ一度ご相談ください。
根管治療は、歯科治療の中で大きな割合を占める治療であり、むし歯が進んで神経を取り除くケース以外に、下記のような症状にも適応されています。
むし歯が進行して歯髄にまで達すると歯髄炎が起こります。過去に治療した部分から細菌が入り込んだり、交通事故や転倒などで歯が折れたり(打撲・脱臼※1も含みます)することが原因になることもあります。部分的に炎症が起きているだけで、元の状態に回復する可逆性(かぎゃくせい)歯髄炎は、通常、むし歯を除去することで正常な歯髄に戻るため、歯髄を除去する必要はありません。一方、回復しない不可逆性(ふかぎゃくせい)歯髄炎は、細菌感染を起こした歯髄をきれいに取り除く、抜髄(ばつずい)と呼ばれる治療が必要となります。共通して「冷たいものや温かいものがしみる」という症状がありますが、不可逆性では継続する痛みを伴ったり、何もしなくてもズキズキ痛んだりします。
※1 歯の脱臼とは外力によって歯を歯槽骨に固定している組織(歯根膜)が断裂することを言います。一部の歯根膜が断裂した不完全脱臼から、歯が抜け落ちてしまう完全脱臼まで様々な脱臼の病態があります
歯髄炎を放置してしまうと歯髄壊死※2となり、温度刺激による痛みを感じなくなります。外傷などで脱臼した歯が歯髄壊死になる場合もあります。症状としては触ってわかるような歯ぐきの腫れ、歯の変色、歯がしみなくなり痛みも感じなくなる、などです。
※2 壊死は組織や細胞が死ぬことで、歯髄壊死とは歯髄(神経)が死んでしまうことです
神経が残っている場合に行う「抜髄」
むし歯が神経にまで達して、ひどい歯髄炎の症状(自発痛、冷・温痛、咬合痛など)を起こしている場合は、歯髄(神経)を取り除く処置が必要になります。この治療を抜髄といいます。歯髄炎の状態は、歯髄の細胞が生きていて免疫力を持っています。このため、歯髄にはほとんど細菌はいないと考えられています。抜髄の段階で無菌的かつ丁寧な治療を行い、精密な土台や被せ物をセットできれば、高確率で根管内に細菌がいない状態を作り出すことが可能です。これにより歯髄炎の症状が改善します。
細菌によって汚染された根管内を清掃・消毒する「感染根管治療」
歯髄炎を放置していると、細菌によって歯髄の組織が殺されていきます。こうなると、歯髄の細胞の免疫力も失われていくため、根管内に細菌がさらに増殖し、歯髄壊死や根尖性歯周炎などを引き起こします。すでに神経を取り除いた歯でも、根管内に細菌が進入すると、同じような状態になります。
感染根管治療は、根管の中の細菌や汚染物を取り除き無菌に近い状態にして、根の先にある炎症を抑えていく治療です。
切削器具を用いてむし歯や被せ物を除去
まず、歯を削る器具(切削器具)を使ってむし歯や被せ物を除去し、汚染された根管内の歯髄を露出させ、処置をしやすくします。このとき、神経が残っている状態であれば麻酔は不可欠となります。再治療の歯であれば、詰め物や土台もすべて取り外します。
手用器具やNi-Tiファイルを用いて根管内の感染物を除去
次に歯髄を取り除いていきます。再治療の場合は根管内に詰めた薬剤、根尖部に溜まった膿を取り除きます。根管は非常に治療領域が細かく、構造が複雑なため、「ファイル」や「リーマー」という針のような専門器具を用いて、取り残しがないように徹底的に除去します。続いて空洞になった根管を拡大していきます。根管は一本の歯に対して複数本あり、前歯では1~2本、奥歯では3~4本に分岐しています。分岐した根管をそれぞれ拡大していく必要があります。
薬液による根管内の洗浄・消毒
汚染された歯髄などを器具で除去した後、薬液によって化学的に洗浄します。また、空洞になった根管内に消毒薬を入れて仮の蓋をし、時間を置いて消毒します。この工程を症状がおさまるまで何度か行います。
根管充填
根管がきれいに清掃、消毒され、症状の改善が認められれば、充填剤を緊密に詰める根管充填(こんかんじゅうてん)を行います。ガッタパーチャと呼ばれるゴム状の樹脂やMTAセメントで根管内をしっかりと無菌状態で封鎖し、細菌が再び侵入しないようにします。
支台築造
抜髄や感染根管治療で神経を抜いた歯は、経年的に歯質が弱くなり、破折が起こりやすくなります。そのため歯を金属や樹脂を用いて補強する支台築造を行います。その土台に被せ物を付け、歯の形態及び機能を回復させて根管治療は終了です。
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